カメラと視線とそれなりのコミュニケーション
一年ほど前の七月、
衝動的にカメラを買った。
OLYMPUS E-510の、
中古の奴だ。
ズームレンズが二つ付いていた。
はじめのうちはフルオートで、
レンズも一本だけで撮影していたが、
暗いライブハウスだと、
フルオートでシャッターが切れない時があるので、
少しずつ設定をいじりはじめ、
全体とアップを写してみたくなり、
レンズも交換するようになった。
音楽聴きにきてるのか、
写真撮影に来てるのか、
分からないくらいのめり込み、
ついに今月、
レンズを新調した、
してしまった。
新しいレンズを携えて撮影に行った場所は、
あまり音が出せない感じだったので、
初めてマニュアルフォーカスで撮影してみた。
動きにくい場所で、
ズーム機能のないレンズだと、
構図が似たり寄ったりになると思ったが、
結局ED50で、押し通した。
構図の制限よりも、
ピント合わせながら、
ぼかしを考えたり、
光量とスピードと絞りと感度を意識したり、
そういった事が、面白かったからだ、
つまり、
この時まで私は写真の面白さの半分も知らなかったってこと。
一瞬の視線を記録に残す道具は
世界の一部を切り取り、
私に窓を作ってくれる。
本と映画と音楽と、
無駄話にしか興味の無かった私にしては珍しく、
現実世界に関わる趣味だ。
私と世界の間にカメラがある、それ以上の夾雑物はない。
素人写真をネットにさらすのは、
多分何かのつながりを求めてだと思う、
かなり厚かましく見えると思うが、
でもここではまだ、
ネットと言うクッション、
匿名と言う防壁ごしに、
おずおずと、手を伸ばしている所だ。
街中で誰かに声を掛けられると、
今もまだ身が竦み、
挙動不審になる。
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