八十年代初頭の奇妙な明るさ。
敵か味方かの政治的二択時代と、
金儲けが統合されていく、
新しい二択時代の間に偶然生じた、
多様性の時代だったのかな。
僕はまだ小学生だったから、
たいした事は言えないけれど。
あの頃は世界が広かった。
いくつもの可能性が世の中にはある、
そんな錯覚が抱けた。
でも結局、
新しいものも、
あっと言う間に、
商売に飲み込まれて、
退屈になるんだけどさ。
七十年代の終わりに、
ジャンプとチャンピオンがシノギを削ったあと、
少年誌でも、
青年誌でもない、NW系コミックが浮上して、
八十年にムーと宇宙船、
少し遅れて八十一年に、
写真時代が創刊されている。
日本のロックは、この頃、
ひそかに黄金期を迎えていた。
この短い期間に、
何か決定的な事がおきて、
いつの間にか希望が、
失われたのだ。
でもいったい何が起きたのだろう、
政治の季節が終わったあと、
公害の話題が後退し、
オイルショックを乗り切った日本は、
何か錯覚したのだろうか、
希望を抱くような事はなにもないのに、
あの頃は明るかった。